ことのはをきみへ

ZTP,小説ニクジュディ

●親愛なるワイルド候補生へ

 ラスクありがとう! とっても懐かしい味だったわ。そして謎も解いてくれたのね、ありがとう。そりゃオリジナル商品だし賞味期限も短いはずよね。すぐ切れちゃうって言い訳にして思う存分食べてしまったわ。当直が続いてたからタイミング的にはばっちりだったの、本当に助かったわ。

 あなたがこないだ電話で心配してくれた時(『どうしたんだいニンジン、すっかりしなびちゃってるぜ』を、心配してくれてるって変換出来る私に感謝してね)、私は強がっちゃったけど、手紙なら言葉を選べそうだし、素直になってみるわね。
 ベルウェザーさんに面会してきたのよ。今はまだ詳しく書けないし、早くあなたも金のバッジをつけてね。
 とてもつんつんしておられたけど、私ってばあなたのおかげで皮肉攻撃への回避及び応戦技術が随分鍛えられたのだと、しみじみ実感したわ。
 ニック、貼られたレッテルに苦しんでるのは、大なり小なり誰も皆同じなのね。それが種族でなくても、例えばしっかり者だと思われてる教師はしっかり者以外になるのが怖くて泣けないのかもしれない。
 もちろん、それを言い訳にして誰かを傷つけたり犯罪に走るのは間違ってるけど、でも、傷ついてる心を無視したくはないわ。それぞれにしかわからない理由で心は傷つくものだって、忘れたくないわ。
 所詮、だとか、くせに、だとか、私は大嫌いだってずっと頭で考えてたけど、私の中にもそれらは染みこんじゃってる。あなたが一番よく知ってるわよね、感謝してるわニック。私は私の無意識とよく向き合ってちゃんと考えて、一つずつ良い方へ正していきたい。自分が変わって、他の誰かを巻き込んで、そうしていけばいつか世界だって変わると信じたいわ。

 陣中見舞いを送る手紙なのに、私の話ばかりになってしまってごめんなさい。
 そろそろ、入学直後以来の疲労のピークがくる頃だと思って、サプリだとかドリンクだとか、あの頃売店の品揃えに物足りなさを覚えたものを詰め込んでみたわ。あとストレッチの本とサポーターと、関節用のテーピングテープも。
 あなたの努力を尊敬するわ、ニック。どうか怪我にだけは気をつけてね。

 あなたの友、ジュディ