ことのはをきみへ

ZTP,小説ニクジュディ

■親愛なるホップス巡査へ

 やあ、元気か? 君はだいたい元気だろうけど、先日はサプライズをありがとう。
 手紙なんて小学校で書かされて以来のものを書いているよ。これは確かにメールと勝手が違うな。
 君の教えてくれた例の楡の木、あそこは素敵だな。寮の部屋はベッドは俺には大きくてもとにかく密度が高いから、君が秘密基地に選んだのも分かる。ワインもそこでいただいたよ。とてもフレッシュで良い味だった。無事にここを出て行くことがかなったら、ぜひ君のバニーバロウへ行ってみたいね。ブルーベリーの最盛期が良いな。
 君が送ってくれたノートや教本、助かるよ。ありがたく使わせてもらっている。おかげで予習の効率がぐんと上がったから、睡眠時間に回せるってもんだ。前半は座学でポイントを稼ぎたかったんでね。君のアドバイス通り、まず体作りの筋トレと持久走を重点においてはいるが、こちらの成果が出るのはもう少しかかりそうだ。後半までになんとか間に合わせたいね。
 いやまったく、皮肉でも何でもなく、君はすごいと痛感しているよ。君が出来ると証明してしまった道なら、未来の相棒の俺が転ぶわけにはいかない。そうだろう?
 まあ見ててくれよ。八ヶ月後の卒業式を終えたら、キツネ初の警察官としてウサギ初の警察官の君の横に並んでみせるから、せいぜい楽しみに待っていてくれ。

 君が書いてたベジタブルラスク、あれはなかなかの味だな。尋ねてみたら、食堂で使わなかったバゲットを再利用して作ってるらしいぜ。オリジナル商品って君の予想は的中ってわけだ。たくさん買ってしまったから君にもおすそ分けするよ。懐かしい味を楽しんでくれ。
 そろそろ夕飯の鐘が鳴るので、この辺で。まったくこの俺が鐘通りに規則正しい生活を送るだなんて、一年前の俺に教えてやっても笑い飛ばすだろうさ。でも一年前の俺と今の俺は違う。八ヶ月後の俺も今の俺と違っていることを願いたいね。
 そっちこそ怪我には気をつけるんだ。足の怪我はもう影響ないかい? 頼りになるキツネが傍にいないんだから、あまり無茶をするなよ?
 では、また。

 楡の木のキツネより